あるぱちかぶと「カラシニコフ」の歌詞

カラシニコフ

あるぱちかぶとのカラシニコフの歌詞を書き起こしました。◎≠って歌詞カードあったけなあ。男女の物語。

歌詞

夢を見た 静かな夢 どこまでも広がる草原の丘の上
私とあなたとこの子だけ 時間が雲のようにゆっくりと
ゆっくりと過ぎていく ただ肩を並べる 
木の幹に寄りかかるあなたのその眼は何を映したの

靄の込めるペーブを歩く 少し肌寒い 
十六夜の晩 かすむ灯台が誘う 
時間通り友人と盃を交わしふらつきながら
船着場まで辿りついた俺は
山の峠に隠れる満月が物憂げな海に
浮かぶ船を上下に揺らす様に気をとられる
「ごめんなさい。待った?」
振り返ると黒髪を結った君が息を切らし立っていた
「いいえ。」
仄白いその顔を月明かりの造る影があでやかに彩る
「実は明日の朝ここを発つ。」
彼女の肩を押さえそう伝える 潮騒の音が沈黙を遮る
「いつ、戻るの?」
と問う無垢な瞳 俺は目を空に逸らしながらこう言う
「わからない。一切は杳として不確かでおぼろげ。
我々は進んでいくだけ。足元のみを見、
感情を飲み込みながら生きながらえるために耐える。
うろたえることはない。
たとえびっこ引こうとも屹度して戻り、
またにっこりと笑えるはずだから。そうだ、約束しよう。
ホラ、総てが終わったら、そのときは血みどろの過去を捨て
君とその腹の子の側に寄り添いたい。
非力だがその為にはどんな悪をも振り切りたい。」

感涙にむせぶ君を細い手首を掴み手繰り寄せる
シャボンのような一刹那の手綱をひたすら引き止め
息を止める 痛いほど一度だけひしと抱きしめた

あの日から一年と二月が過ぎた 
ひもすがら血眼に地を這いつくばった
重い荷が背骨を削った 
一日の終わりには筆を持つ気も失せた
ここではあらゆる瞬間が最後になりうる 
つまり死という空間とにつながっていて
片手はいつでもドアノブに上 
君たちを運ぶノアの箱舟を遠くから見送る
逃げても逃げてもそんな映像が毎晩俺を捕らえた 
毛布に包まれど睨まれているのを感じた
しばらくして喜怒哀楽も干からびた 
底なしのけだるさ ひどく狭苦しく
抜け出せず絶えず動く 目まぐるしく 
足元の水溜りを見つめる 
やつれたシルエット 吸殻を力なく打ちやる

悲しみのしみ込む漆黒のカラシニコフ 
氷のような冷たさは頬骨を貫く
弾薬をまかない銃把を握る 
まっすぐ銃口(まずる)をその目交(まなかい)にあてがう
乾く目 一滴の汗が喉もとを伝い 
引き金に掛けた人差し指 切れる蝶番 
二つの世界の境目を跨いだあと 
鼻をつく火薬臭と耳鳴りのみが残された

あぐらをかき油汗をまずガーゼで拭う  
ビロードの外套のうえ鳩尾に突き立てる 
微動だにせずあばらえぐり静寂を裂く 
金切り声 赤錆色に染まりゆく床へ
かなぐり捨てるクリスタルガラス 
関の孫六 横たわる 炙られる熱さにもがく 
遠のく意識は回る万華鏡のように虚空に
伸び続ける螺旋階段をゆっくり昇りだした

あの日から三年と半年が過ぎた 
耐えられぬ痛みばかり与えられる
あなたはいつものっぺらぼう
ポツリと呟けどあの空の四隅へと吸いとられてた風船
薄暗い河川敷 ペチャンと尻餅つき
お月様の知らん顔の下で独りうずくまる
仰向けに寝転がるとこそばゆいこめかみ 
よみがえるお手紙を三度(みたび)読み返す
おセンチなお天気 オレンジの夕焼け 
懐に吸うだけで灰となりふとどこか
遠い処へふわふわとこの身は綿毛のように
吹かれていってしまいそう 
胸を焦がし明日も身を粉にして生きるの
ポタポタ努めて待つことに
いささかくたびれた旅人の焚き火を
消す木枯らしはなんて冷たくそしてそっけないのかしら   
雲の流れ眺めながらいつもの
泣き真似のつもりが積もりつもって
涙目になる私は本当に駄目だ だらしない弱虫だ
アテもなくもがくアメンボのよう 
故障を来したこの世から雨模様のあの世に
恐る恐る腰を浸すことが潔く思えて 
いっそ今日に蓋をしてなにかもかも一緒くたにした世界で
ひっそりと暮らしたいの

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