R-指定と呂布カルマはフリースタイルダンジョンで二度対戦している。一戦目は2017年4月18日、二戦目は2018年8月15日。一戦目ではバースの途中で呂布カルマが負けを認めるなど話題にもなった。この記事では二戦に渡り文字起こしと共にライムやコンプラの理由などを解説。
1戦目 R-指定 vs 呂布カルマ 2017年
R-指定 vs 呂布カルマ Round1 のリリック・解説
ビートは 残念です / NORIKIYO 。
R-指定
「言葉のウエイト」ってほど軽い言葉はない
自分が大人だって言うほどガキな奴はいない
地上波に中指立ててるくせに
ノコノコとここに出て来てる
お前は何か フーリガンかクレーターか知らねえけど
全部言葉がブーメラン 自分に返ってきてる
分かってんのか?お前こそハッキリしろ
矛盾点ばかりだぞカスが
「言葉のウエイト」についての解説は蛇足かもしれないが、戦極MCバトルにおいて対ENEMY戦で呂布カルマが使ったライム。このライムは「言葉のウエイト」、あるいは「言葉の重み」として当時バズっていて、R-指定戦に至るまでの試合でも何度か引用されている。
戦極MCバトルで使われたときには会場の盛り上がりも大きかったが、その盛り上がりの代償というか、呂布カルマへの攻撃チャンスに置き換わったとも言える。おちょくるという意味で「いじりやすい」ポイントになった。
呂布カルマ
もちろん分かってる ラップってのは鏡
俺が吐いた言葉 俺に返ってくる
だから俺はヘタなことは言わない
韻の弾みでしょうもないこと言ってしまうお前とは違う
3年前に対面したときよりも
随分みすぼらしくなったなお前 どういうことだ
さっき出て来た時の曲もしょうもない4つ打ち
とっくにHIPHOP捨てちまったのかよR-指定
ここで言われている「3年前に対面した」はUMB2014のこと。UMB2014と言えばR-指定が三連覇の偉業を成し遂げた回でもある。UMB2014で対戦したときにはR-指定のストレート勝ちだった。が、会場の盛り上がりも、試合後の呂布カルマの手応え的にも、ストレート勝ちで決まってしまうのが残念なくらい良い試合だった。
特にノリに乗っていたR−指定に対して、効き目のありそうな攻撃ができたのが唯一呂布カルマだったと言っても過言ではない。実際にこの時の呂布カルマの攻撃が三連覇後のR-指定の楽曲やバトルに影響を与えている部分があると思っている。R-指定の音源『刹那』などではその影響が感じ取れるはず。
また、呂布カルマは「しょうもない4つ打ち」と言っている。このときのR-指定の登場曲は自身の所属するCreepy Nutsの『助演男優賞』。
4つ打ちといえばポップスと言っても差し支えないくらい定番。もちろんそれ以外にも当てはまるが、特に日本で売れ線のバンドの楽曲は4つ打ちが多い。
R-指定
あれを4つ打ち?
あれはサンプリングビート
HIPHOPの基本分かってないのお前の方でしょ
「3年前より格好がみすぼらしい」
韻よりも見た目の話するほうがだせえと思うんだわ
分かるか
お前地上波だなんだ言ってるくせに
ラップでニュースレポートみたいなんしてんじゃん
どっちが汚れ?お前落ちこぼれ
自分の力ひとつでよじ登れよカスが
呂布カルマの指摘に対してサンプリングだと主張する。『助演男優賞』はジェームズ・ボンドのテーマをサンプリングしているのではないかと言われている。
R-指定が言っている「ラップでニュースレポート」とはNEW RAP JAPAN(ニュース・ラップ・ジャパン)のこと。AbemaTVで2017年2月5日から2019年3月28日まで配信されたニュース番組だ。番組には何人かのMCが出演していて、賛成派反対派などに分かれてニュースの内容についてフリースタイルで意見を述べる形式でラップをしていた。
呂布カルマ
しょうがねえな 1個1個訂正してやろう
サンプリングだろうが何だろうが4つ打ちは4つ打ち
あのニュースラップ これAbema
地上波じゃねえ お前とは違え
そしてラップってのは見た目に出るぞ
きたねえ髭で顔面を隠してる
ロン毛で顔を隠してる
それはお前の自信のなさの現れ
体を鍛えるおっさんと同じ
おそらくここがこの一連のバトルの勝敗を決めたのではないだろうか。呂布カルマは丁寧にアンサーを返したが、顔を隠していることが自信のなさの現れであると言ったことでこの後の流れが大きく変わった。
R-指定
なるほどね
グラサンで目隠してるってことやろコイツ
自分で言ってるやん
俺が地上波だなんだ言ってねえ
ラップでニュース読むことのダサさを言ってんだ
このカスが
お前カッコつけやがってよ 分かるか?
韻の弾みだどうだの話じゃねえよ
お前大人ぶってるんだ
もし俺がガキで中二病なら
お前一番痛い大二病だ
お前みたいな奴芸大にいっぱいいんだわ クソが
後から試合を見てる側から即興のライムに突っ込むのは立場が有利すぎるが、「地上波」の話をR-指定なので「ラップでニュース読むことのダサさ」というアンサーはイマイチだと思った。しかし、「自信のなさの現れ」に対するアンサーが強かった。
「大二病」は「中二病」のことを恥ずかしいと思う「高二病」の延長だと思うが、「大二病」をバカにすることは結果的には「大二病」と同じだ。しかしそれを鑑みても会場の盛り上がりも含めてR-指定の主張のほうが勝ったという印象だった。
呂布カルマ
そらそう 俺芸大卒
芸大に俺みたいな奴いっぱいいたよ
HIPHOP界 俺みたいな奴 全然いねえよ
だから目立ってるってことだ
お前とは違え
韻が無えと進まねえラップとは違う
俺頭からケツまで全部パンチラインよく味わえ
お前金輪際俺の前に立てねえようにしてやるからよく覚えとけ
R-指定のアンサーを受けて、ここから呂布カルマの切れが落ちた。少し感情的な内容に変わったと思う。大二病から芸大の流れにアンサーするよりもグラサンの部分にアンサーするほうが効果があったのではないかと、後になって思う。
R-指定 vs 呂布カルマ Round2 のリリック・解説
ビートは Mama Said Knock You Out / LL Cool J でした。
R-指定
お前みたいなやつが目立つ? さっきVTRで言ってたな
「俺のスタイルが流行ってるからっすかね」
思い上がんな その程度のスキルでここに上がんな
韻がどうこう お前のライン 全部パンチラインやったら
全部沸いてないとおかしくない?お前
自分のラップも観客の声も冷静に聞かれへんクールコアなんすか?
「思い上がんな」は、UMB2014で呂布カルマがR-指定に言った言葉に近い。先述の通り、UMBでの呂布カルマのdisあるいは指摘はのちのR-指定のスタンスに影響を及ぼしたと思っているが、そのひとつがコレだ。R-指定は自分が受けた攻撃を自分のものとして昇華している。
呂布カルマ
お客さんのレベルに合わせたラップの権化
その集大成がお前
俺は上 家帰ってもう一回勉強しなって話
その場で聴いてすぐアガれる韻
俺は文字起こしして後から喰らってくライム
ライムの種類が違う
俺がHIPHOPでお前はPOPS
You Know?
「お客さんのレベルに合わせたラップの権化」、呂布カルマからR-指定の見え方は3年前からあまり変わっていない。
一昔前のヒップホップには「セルアウト」、つまり大衆に媚びることを善しとしない風潮があった。このバースもその流れを汲んでいると言えるだろう。
R-指定
文字起こししたらアガんのは絶対FORKさんの方やから
しかもお前ライムって言ってるけど
韻1つもないぞ
お前は何か空気読んでそういう風にやってるだけ
自分が特別?自分が目立ってる?
クラスにおったわ1人くらいはこういう痛いやつ
おい 文字起こししたって
お前はただ単に喋ってるだけやぞ カス
ここでFORKを引き合いに出すのが正しいことかどうかは微妙なところ。呂布カルマの主張はHIPHOPであるかPOPSであるか。呂布カルマとFORKのどちらが上かはカルマの主張するところではないが、「FORKのライムは文字起こししたらアガる」のはフリースタイルダンジョンを見ていれば間違いのない事実だ。会場を味方につけるには十分だった。
呂布カルマ
俺が韻踏めないと思ってるお客さん
実はそこそこたくさん 踏んでるんだけど
分かんねえかなお前
俺はクラスに1人はいた一番目立つ奴
お前はクラスに10人はいただっせえ陰キャラ
それがラップの力で調子こいて勘違いして
俺に向かってガン飛ばしてる
ここではフロウでも分かりやすく「お客さん」「たくさん」で返した。
この時点で、R-指定がだいぶ立場が上になっていた。内容面で後から指摘する分には、R-指定の内容について反論することはできるが、即興で観客にわかりやすいようにラップしながら反論するのは至難の技。しかも、あくまで反論にしかならず、攻撃にならない。こういう戦い方がR-指定の上手い理由のひとつだと思う。
R-指定
いやいやいや
調子こいちゃってんのはお前の方でしょ
そのオールバック グラサン
芸大卒なのにヤンキー気取りか?
漢さんと全然芯の太さが違うねん
お前にな教えといたるわ
見た目だけカッコつけた的場浩司
でもハートはチキン 名古屋コーチン
FAKE 佐村河内
Shall we 死のダンス? 役所広司
R-指定はここまでで既にこの試合内でのプロップスを十分に勝ち取っていた。
FORKを出したときと同じように、「その道のプロ」を引き合いに出しておいた上で、きれいなライムで落とす。
的場浩司、名古屋コーチン、佐村河内、役所広司の流れは秀逸。一方で、呂布カルマが前半で指摘した「韻の弾みでしょうもないこと言ってしまう」を完全に否定できるかと言えばそうでもない。
なお、的場浩司がコンプラになった理由は、名誉の部分があると思う。その後に登場する「佐村河内」には、「両耳が聞こえない作曲家として名を馳せていたが実際にはゴーストライターがいて別の人が作曲していた」という騒動になった人物。なんとなくこっちのほうがコンプラっぽい気がしなくもないが。
また「Shall we 死のダンス?」は、役所広司が映画『Shall we ダンス?』で主演を務めていることを受けてのライン。R-指定のライムには映画ネタが多い。
呂布カルマ
上手に韻踏むなお前
お前の地元にはお前みたいな奴がいっぱいいる
ゴリゴリ来んなこの髭面が
この髭 ここの髭 ロン毛
もう全然良いわ 言うことねえわ
やっぱコイツ強えわ もうだめだ
強い
最後は呂布カルマが負けを認めて途中でバースを投げて終わった。
この時の実力でR-指定と呂布カルマに大きな差があったとは言い難い。しかし、クリティカルなアンサーがあって、そこから体勢を持ち直せなかったのも事実で、これが即興バトルの面白さと言えるかもしれない。音源のbeefだったら観客としても見る立場が大きく変わっただろう。
2戦目 R-指定 vs 呂布カルマ 2018年
R-指定 vs 呂布カルマ Round1 のリリック・解説
結果は3対2で呂布カルマの勝利でした。バトルに使用されたビートは 対峙 / DJ WATARAI 。
呂布カルマ
前に来た時 落としてったもの
拾うチャンスがまたやって来た
お前もう2度と来ないって言ったよな
絶対来ませんって言ったよな
なのにすぐやって来た お前の絶対って何?
これは接待だぜ 受けて帰れ
言葉が軽い奴のラップじゃ上がらない理由
ここで明らかにする
モンスターとチャレンジャーの立場を替えての再戦になりました。呂布カルマの明らかな宣戦布告で二戦目の幕が明けます。
R-指定
前のバトルで全部言葉が自分にブーメランで返って来た人がよう言うてるわ
絶対戻らないって言ったっけな?
いや戻る戻らないの話じゃなくて
お前らが不甲斐ないからケツを拭きに来てやったって何回言ったら分かんだ おい
あ この間 白旗振った人っすよね 恥ずかしい
「ケツを拭きに来てやった」、このスタンスは強い武器だ。加えて、前回のバトルの結末を誰もが知っているから、それを使ってマウントを狙った。
呂布カルマ
めっちゃ上手いんやけどな
全然格好良くないのはなんでやろな
お前は何にも悪くない
いやでも格好悪いから悪いのか
結局そういう事だ
お前のマネする大阪の後輩たちが軒並みクソダセェ理由
それはお前に害があるだけだろ
ここで殺害予告 R-指定 死ね
この一年ほどの間で、R-指定が名を上げた分、R-指定に憧れたラッパーも増えた。その一方で呂布カルマもプロップスを得るのと同時に自身のスタイルを固めたような気がする。その意味でも以前にも増して攻撃的だ。しかし冷静さは失っていないようだった。
R-指定
ハイ OK お前のマネしてる若手も多いけどな
なんか自分がアーティストか芸術家やと勘違いしてる
俺達はどこまでいってもただのラッパー
分かってんのか このMother****
俺のマネ どっちでもいいが No more money
もう噛んでも大丈夫だぜ お前ぐらいの相手
だって1回ボコボコにしちゃってるからなぁ
R-指定はスタンスを変えない。前回のバトルもあるので熱い展開が期待されたが、このラウンドは燃えきらず、攻撃の手数が多かった呂布に軍配が上がったという印象。
R-指定 vs 呂布カルマ Round 2 のリリック・解説
結果は3対2でR-指定の勝利でした。バトルに使用されたビートは C.R.E.A.M. / Wu-Tang Clan 。
R-指定
C.R.E.A.M.の上で教えてやる お前にラップのメソッド
メスを入れる
Inspectah Deck じゃないけども
お前を零コンマ何秒でぶち壊してやる
この掛かってるとこ 全部分かるか?
かかって来いってお前が指触れる番か
どの口が抜かすんだ
さっきから全部 言葉 ブーメランで刺さりまくって
服が真っ赤 血だらけになってんじゃん
おそらくR-指定は攻めの姿勢が不足したことを自覚していたと思う。このラウンドのスタートはビートを受けて、R-指定の得意なスタイルで攻めに回る。
このバースの前半はビートの元ネタであるWu-Tang Clan(ウータン・クラン)のメンバーが登場する。「ラップのメソッド メスを入れる」はMethod Man(メソッド・マン)と彼の愛称である「メス」が含まれている。続くinspectah deck(インスペクター・デック)はそのままメンバーの名前が使われている。「零コンマ(レイコンマ)」は語感踏みとでも言うか、メンバーのRaekwon(レイクウォン)を掛けている。
呂布カルマ
お前がかつてどんな気持ちでここに立っていたか分かって
俺は超強くなった かかって来い
俺をやれるもんならやってみろ このヒゲ野郎
お前の長い髪を掴んで引きずり回して
R-指定 もうダメだって言わしてぇ
こいつがイワシで 俺がマグロで
サメで シャケで 鯛で
このバースは呂布カルマが不調だったように見える。
モンスターとしての立場から攻めの姿勢を見せてたが、着地がうまく決まっていない印象だった。
R-指定
人のヒゲとか 自分の事を気持ち分かったとか卑下する
そんな呂布カルマ見たくなかったな
肩にフクロウを乗せて 居酒屋でラップやらされて
一体どこが奴隷だよ どっちだよ?
服が真っ赤 タンポン 血に染まってる
おめえにエール エリエール
サイドギャザー ラップやれ 最初から
お前に耳元でウィスパー
呂布カルマがカッコ悪いという印象を持たせにかかる。
その上でタンポン、エリエール、サイドギャザー、ウィスパーと生理用品攻め。関連する名詞を並べるシリーズはこの頃の流行りでもあった。上手いこと言ったな感が出る。
ちなみに「おめえにエール」は『あなたにエールを。』というキャッチコピーのことを言っていると思うが、このキャッチコピーはエリエールではなくアリエール。アリエールは洗剤だ。
呂布カルマ
肩に乗せる鷹 居酒屋でしたラップ
全部俺が望んで掴んだ事
お前いつまでも梅田でラップやってろ
オメェの方がクソダセェ みんな知ってる事
何にも感動しねぇラップ 格好良いのと格好悪いの
技術の先に行かなきゃなんねぇ
いつだって子どもは親を超えていくもんだ
お前が生み出したモンスターが俺だ 受け止めろ
最後に呂布カルマが自分のスタンスを主張した。が、決定打には欠けたようで、ライムを残したR-指定が勝利を得る。
R-指定 vs 呂布カルマ Round3 のリリック・解説
結果は3対2で呂布カルマの勝利でした。バトルに使用されたビートは Liquid Swords / GZA fesat.RZA 。
呂布カルマ
前回のお前の勝ち方と俺の負け方と
話題になったのはどっち?
それは生き方の差だろ
俺の肩に乗っかったもんの重み 今なら分かるぜ
お前 あん時のキレがねぇ
フラフラ フラフラ 遊んでっからそれは仕方ねぇ
Rockとは名ばかりの
クソみてぇなロックフェスでやる音楽ばっかりやってんだもんな お前
初手、もっともな言い分だ。R-指定の「Shall we 死のダンス? 役所広司」までのラインも良かったが、呂布カルマのギブアップは前代未聞だった。うまく使う策を取った。
新しく攻めるスタンスとしてR-指定が音楽フェスに出演したことに触れる。R-指定はCreepy NutsとしてVIVA LA ROCKやROCK IN JAPAN FESTIVALなどに出演していた。
R-指定
「本物のラッパーは場所を選ばねぇ」
みたいな事 お前言ってなかったっけ?
これこれ こいつの悪いとこ
全部自分の言葉 返って来てるから さっきから
お前 オーストラリア行って お前 ブーメラン振り回してんのか
カンガルーみたく飛び跳ねながら考えろよってMOTOYのライムも出てくるわ
しょうもない
しかもな 年下に親って言うな 恥ずかしいな ボケが
R-指定のアンサーは呂布カルマが過去に言ったライムを引用して返す。
これはおそらくUMB2016に呂布カルマがヤングたかじんとして出場した際に、mol53との試合で言った下記についての言及だろう。
本物のMCはラップする場所を選ばない
テレビだろうが武道館だろうが
どこでだってやってやるよ
加えて「カンガルーみたく飛び跳ねながら考えろよ」とは、B-BOY PARK MC BATTLE 2000 でのKREVA vs MOTOY(モトイ)の
カンガルーみたく飛び跳ねながら考える 頭フル回転中
からのサンプリング。バトルからのサンプリングでここまで古いと、あの場で聞いてピンと来た人は少なかったのではないだろうか。
呂布カルマ
違うね ホンモンのラッパー
立つ場所を選ばない そこでラップすればって話だ
お前がやってんのは媚びへつらったRockもどきみたいなのと変わらねぇ
俺はそれをHIPHOPって誰も認めねぇ
あれがHIPHOPだったら俺はとっくに辞めてる
ブーメランは確実にお前の首を切り裂いて
俺の手元に戻ってくる
呂布カルマのスタンスは一貫している。ラッパーであることヒップホップであることが重要な価値観のひとつとして存在していて、前回のバトルを含めても呂布カルマの論点は同じだ。この点に関して、R-指定は実はアンサーを返していないというか、上手くかわしている。急所でもあるが対処も知っているから強いのだろう。
「ブーメランは確実にお前の首を切り裂いて俺の手元に戻ってくる」は良いアンサーだ。細かいが本来ブーメランとはそういうものだ。元々は「ブーメランが刺さる」だったものが省略されてしまったがために「ブーメラン」単体で良くないことのように言われているが、ブーメランは元々返ってくるようにできている。
R-指定
だから 別にお前に認めてもらうために
HIPHOPやっとんちゃうねん ボケが
なぁ サイファーいつまでも梅田でやってる俺が恥ずかしいか?
てかさ 聞くけど 格好悪いのってあかんかったっけ?
ダサいのってあかんかったっけ?
それ上回るくらい 俺 ラップ好っきゃねん
大人が上がらんでもかまわん
ガキの茶番で俺がNo.1 ai
アンサーは返さずにキレイに締める方向に。ラップバトルでは揚げ足取りな部分が多くなるが、最後のターンだけは特殊で、突っ込むことができないから言い逃げができる。その点では最後のバースでは言ったもんがちなことを言うのが得策かとも思っている。R−指定もそれが分かっているような気がしているし、今回もそういった締め方だった。
しかし、モンスターとしての自負や、一年間の経験ではラップバトルに関しては呂布カルマの伸びのほうが多かったようだ。このラウンドを以て呂布カルマが二本先取してモンスターとしての威厳を保った。