DJ CELORY「HIPHOP IQ」

2020年3月4日に放送されたフリースタイルダンジョン。番組の後半は「DJ CELORYが選ぶ俺のBEST BOUT」のコーナーでした。このコーナーの中で自分的に深いと思った場面があったので書いておこうと思います。

DJ CELORYが選ぶ俺のBEST BOUT

DJ CELORYは三代目モンスターの全バトルを見てます。DJなので。そんなセロリが三代目モンスターのバトルの中からベストバウトを3試合ピックアップしてます。セロリ曰く、「エモーショナルな部分、ビートのアプローチの仕方」といった視点も含めてのチョイスだそうです。

第3位 U-mallow vs JUMBO MAATCH

第3位はU-mallow vs JUMBO MAATCH。JUMBO MAATCHがモンスターになってから3試合目のバトル。選んだ理由は「アウェイの中、この試合を何かを掴んだ気がする」とのこと。ERONEに言わせればまだまだ上があるらしいですが。

このバトルは全文文字起こししているのでチェック。

U-mallow vs JUMBO MAATCH【フリースタイルダンジョン】文字起こし
2019年11月26日放送のフリースタイルダンジョンより U-mallow vs JUMBO MAATCH のバトルを文字起こしした。U-mallowにとっての一試合目。一貫して音のノリを武器にしての試合運び。リリシストとしての魅力はあまり...

第2位 しぇん vs ID

第2位はしぇん vs ID。選んだ理由は、「IDのHIPHOP IQが高くて、DJとしてMCとフィールできた気がする」とセロリ。このバトルでは、IDがセロリのビートの原曲をなぞったフロウでバースをはじめてます。

第1位 輪入道 vs TKda黒ぶち

第1位は輪入道 vs TKda黒ぶち。セロリがこのバトルを1位に選んだの理由は「涙が止まらなかった」から。

TKda黒ぶちが「フリースタイルバトルって一瞬の、今日だけの出来事ではあるんですけど、その間のプロセスが集結して1つの物語になる瞬間っていうのがMCバトルの中で自分の好きだなって思う一面があって」とコメントしてます。輪入道にとってはMCとしての最初のバトルがTKda黒ぶち。このバトルは、それから12年に経ってフリースタイルダンジョンで対峙したバトルです。実にストーリーがあります。

HIPHOP IQって何?

これです。セロリが第2位を発表したときにコメントの中でHIPHOP IQという言葉を使ってます。この辺りの流れはこんな感じ。

DJ CELORY「僕はね、すごくあの、いつもこう、ブレイクDJやってる時に感じてることなんですけれども。えーと、IDと、まああと黒ぶちもそうなんだけど、TKもそうなんだけど、あの、HIPHOP IQがとても高いなと」

ZEEBRA「はい、なんでかというと曲を知ってる」

DJ CELORY「そういうことです」

ZEEBRA「はい、例えば今の曲もFeety Wapですけれども、Feet Wapのフロウの感じから入ってきてとか」

DJ CELORY「入りがそこで入ってきてるとか、そういうの僕あの、こう、自分でこう、曲を流してる時に、なんかこう、MCとフィールできた感じがするというか」

HIPHOPの要素にはいろいろありますが、ここではヒップホップの曲を知っていることをIQの高さのひとつとしてます。特に、セロリはIDが若いにもかかわらず古いクラシックを知ってたことを評価しています。

これはHIPHOPの醍醐味の一つかなと思ってます。

有名どころのビートで予定調和のサンプリングするのとはちょっと違います。ああいうのは今や一般層でもできるわけで。

そういうのとはちょっと違って、本当に「一番好きな音楽がヒップホップ」な人たちじゃないと知らないような音源からのサンプリング。知ってる人にだけ分かるサンプリングって感じですかね。「全員が知ってるほどじゃないけどコアは知ってる、それをわざわざ説明したりしないけど」くらいの温度感です。好きな人は勝手に調べますからね。

知ってるか知らないかでは好き嫌いは判断できないですが(単に知識の量でしかないので)、知らなかったときに調べるか調べないか(知ろうとするかどうか)では本当に好きかどうかは如実に現れると思います。調べないことは悪ではないですが、実際に調べたほうが好きに決まってる。

そういう「調べた人」には分かる、みたいな。分からなかったら知りたくなる、調べたら面白い。こういうハイコンテキストがヒップホップの良さにあると思ってます。

これってまんま「サブカル」なんですけど。そういう面があってもいいかなっていう。ヒップホップの人はやっぱり若干どこか捻くれてる。日本語ラップシーンにもセルアウトを嫌う感じがあったでしょ?そもそもがレベルミュージックなんだからそこを捨ててキャッチーさだけで行くと、それは音楽的な文脈でのヒップホップでしかない。カルチャーとしての、文化的な意味でのヒップホップには、売れなさそうだけど生き様みたいなところがあってもいいかも(そこがかっこいいと思ってました)という個人的な思い。

売れるとかシーンを普及させる上でこういう考えは足枷になりうると思ってるので強要はできないんですが、HIPHOP IQは高めておきたいと思ってこのブログを書いてる節があります。と、そんなことを思わせた(フリースタイルダンジョンには珍しく)良い振り返りコーナーでした。

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